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就活も転職も有利に!「簿記」が一生ものの武器になる理由

「簿記」資格は、就職や転職において強力な武器になると長年評価されてきました。 実際、2024年版「就職に役立つ資格・検定ランキング」では前年に引き続き第1位に選ばれており、一時的なブームではなく長期にわたり高く評価されている資格です。

日本商工会議所が実施する日商簿記検定は年間約50万人もの人が受験する人気資格で、多くの経理関連求人では応募条件にもなっています。本記事では、大学生から社会人・転職希望者まで幅広い読者に向けて、簿記3級・2級の資格がなぜキャリア形成に役立つ「一生ものの武器」となるのか、その理由をわかりやすく解説します。

目次

簿記とは何か(概要と目的)

簿記とは、企業の経済活動を帳簿に記録し、財務報告書(決算書)としてまとめる一連のルールや手続きを指します。

日々の取引を仕訳帳や総勘定元帳に記録し、最終的に貸借対照表や損益計算書といった決算書を作成するのが簿記の目的です。決算書を作成することで、企業の経営成績や財政状態を正確に把握し、第三者にも分かりやすい形で報告できます。簿記で扱うルールは家計簿にも通じる部分がありますが、第三者でも理解できる形で記録・集計する点が特徴です。

簿記を学ぶことで、売上や経費の管理、利益計算、財務諸表の読み取りといったお金の流れを把握する力が身に付きます。そのため、簿記の知識は経理担当者だけでなく現代のビジネスパーソンにとって必要不可欠なスキルとも言われます。実際に簿記の知識があれば、会社のお金の動きを理解して経営状況を読み解く力が養われるため、営業利益が出ているか、資金繰りは問題ないかといったポイントを自分で把握できるようになります。

企業で働く上で簿記の基本知識を持っていることは、ビジネスの共通言語を身につけるようなものだと言えるでしょう。

簿記3級と2級の違いと難易度

日商簿記検定には1級から3級までありますが、就職・転職で特に役立つのが3級と2級です。

まず試験範囲の違いとして、日商簿記3級「基本的な商業簿記」が中心です。仕訳の方法や帳簿への記録など、業種・職種に関わらず社会人として身につけておきたい簿記の基本知識を習得するレベルです。一方で日商簿記2級は、3級より発展的な「高度な商業簿記と工業簿記」が範囲となります。製造業の原価計算(工業簿記)なども出題され、財務諸表の数字から企業の経営内容を把握・分析できる力が求められるため、内容が格段に複雑になります。

平たく言えば、3級は個人商店レベルの会計2級は中小企業~大企業レベルの会計を扱うイメージです

難易度の面でも両者には大きな差があります。簿記3級基礎的な試験であり合格率も高めで、独学でも十分合格可能と言われます。実際、近年の3級統一試験の合格率はおおむね40~50%前後で推移しています。これに対し簿記2級は難易度が上がり、内容が広範かつ複雑になる分、合格率は15~30%程度と低めです。

例えば2024年6月実施の第167回統一試験では3級の合格率が40.7%だったのに対し、2級は22.9%にとどまりました。独学で合格することも可能ですが、特に2級は商業高校の簿記授業レベルとも言われ、カリキュラムに沿った専門学校や通信講座を利用する方が効率的との意見もあります。

合格までに必要とされる勉強時間の目安も異なります。

一般的には簿記3級で50~100時間、簿記2級で100~300時間程度の学習時間が推奨されています。3級は毎日1時間の学習で約2~3ヶ月、2級は1日2時間で約2~5ヶ月が目安です。もちろん個人差がありますが、内容のボリュームから見ても2級取得には相応の計画的な勉強が必要になるでしょう。

勉強方法としてはテキストや問題集、過去問を繰り返し解くことが基本で、特に社会人はスキマ時間を有効活用しながら自分に合った学習法で進めることが大切だとされています。

就職活動での簿記の活かし方

経理・会計職で有利になるポイント

経理や会計といった職種を目指す場合、簿記資格はほぼ必須と言えるほど重要です。

多くの企業の経理職求人では日商簿記2級以上の取得が応募条件になっているケースが少なくありません。企業側としては、2級以上を持っていれば「一通りの簿記知識の土台がある」と判断できるため、即戦力として期待しやすいからです。特に未経験から経理職への応募では、簿記資格の有無が採用可否を分ける決定打になることもあります。簿記2級に合格していれば、少なくとも経理に必要な基本知識は身についているとアピールできますし、実務未経験でも「勉強して資格を取った」という努力が評価されるでしょう。

また、経理・財務の実務経験者であれば、簿記2級を持っていることで転職市場での選択肢がさらに広がります。即戦力になり得る人材として企業から歓迎されやすく、より好条件の求人に挑戦できる可能性も高まります。逆に言えば、経理職を目指すなら最低でも簿記2級の取得を目指しておくのが望ましいということです。

事務・営業職など他分野でのアピール

簿記の知識は、たとえ希望職種が経理以外であっても就職活動のプラス材料になります。

一般事務や営業職などでは直接簿記の実務を行う機会は少ないかもしれませんが、ビジネスの基礎知識として簿記を理解していることは企業から評価されます。実際、簿記検定は「経理職以外でも評価が高いビジネス共通言語」として位置付けられており、多くの企業が簿記取得者を高く評価する傾向があります。

営業職の場合でも、自社の商品・サービスの利益構造を理解したり、取引先企業の財務状況を把握したりする際に簿記の知識が役立ちます。「数字に強い営業」は説得力があり、利益管理やコスト意識を持った提案ができるため企業から重宝されるでしょう。

特に中小企業やベンチャー企業では、一人の社員が経理的な業務を兼任するケースも少なくありません。そうした職場では、たとえ採用ポジションが事務や営業であっても簿記の知識を持っている人が歓迎される傾向にあります。入出金管理や請求書処理、簡単な経費精算など、簿記の知識があるだけでスムーズに対応できる業務は多々あるからです。

「簿記◯級合格」という資格欄の記載は、それ自体が応募者のビジネス基礎力を示す指標となり、人事担当者へのアピール材料になります。

簿記3級でもアピールになる?

「とはいえ、3級レベルでは意味がないのでは?」と不安に思う方もいるかもしれません。確かに簿記3級だけでは転職市場でのアピール材料としてはやや弱いのも事実です。年齢が若かったり志望先が小規模企業であれば3級でも評価される場合もありますが、基本的には2級以上が望ましいでしょう。

しかし、3級であっても持っておいて損はありません。近年は労働人口減少による人手不足もあり、「未経験者歓迎」の経理求人も増えています。その中で簿記3級に合格していれば、「最低限の基礎知識はある」と見なされ有利になる可能性はあります。

加えて、多くの企業では入社後に社員に簿記資格の取得を推奨したり支援したりしています。簿記3級合格は「さらに上を目指す意欲がある」ことを示す指標にもなるため、面接時に今後2級取得に挑戦したい旨を伝えるなど、前向きな姿勢をアピールすると良いでしょう。

社会人・転職希望者にとってのメリット

キャリアアップ(昇進・昇格)につながる

簿記の知識は長期的なキャリアアップに役立ちます。

企業内で昇進して管理職や経営層に近い立場になるほど、財務数値を読み解く力が求められます。経理担当者でなくとも、自部署の予算管理や業績評価、他部署との調整で数字の話題は避けられません。簿記2級程度の知識があれば、貸借対照表や損益計算書から会社の経営状態を把握する素養が身につきます。

これは管理職へのステップとして大きな強みです。

実際に、簿記資格をキャリアのスタートとして実務経験を積み重ねていけば、ゆくゆくは経営管理の視点で数字を読み解く能力へと発展させることができます。若手のうちに簿記で土台を作っておくことで、将来的に経営企画や財務分析といったポジションにもチャレンジしやすくなるでしょう。

簿記は「一生もののスキル」と称されるように、身につけた知識がキャリアの節目節目であなたを支えてくれるはずです。

転職で選択肢が広がる

社会人が転職を考える際にも、簿記資格は職種の選択肢を大きく広げてくれる切り札です。

例えば現在は営業職だけれど、将来は経理や財務にキャリアチェンジしたいという場合、簿記2級を持っていれば未経験でも採用にチャレンジしやすくなります。実務経験がない転職希望者にとって、資格はその分野への知識習得努力を示す重要な証明です。簿記の資格を持っていることで、「数字に強く、ビジネス基盤がしっかりしている人材」という印象を与えることができます。

また、幅広い業界で簿記の知識は求められるため、簿記取得者は経理職以外の求人にも強みを発揮できます。製造業からサービス業、IT企業まで、どんな業界でも会計・経理業務は存在しますし、「営業だけど経理の知識もある」「エンジニアだけど財務の基礎もわかる」といった人材は社内異動や他職種への挑戦のチャンスも得やすくなります。簿記2級以上を取得していれば「即戦力になり得る人材」として評価される場面が増えるでしょう。

社内評価・待遇アップにも効果

簿記資格の取得は社内での評価や待遇面にもプラスに働く場合があります。まず、在職中にコツコツと勉強して資格を取る行動自体が、上司や同僚から見ると向上心や努力の表れとして映ります。実際、履歴書に資格取得を記載しておけば面接で話題になることもあり、「仕事をしながら勉強をやり遂げた」という点は人柄や働きぶりの評価につながることがあるのです。

さらに、企業によっては簿記など有用な資格を取得した社員に対し資格手当や一時金を支給する制度を設けていることもあります。簿記2級合格者に毎月資格手当を支給したり、合格時に報奨金を出す会社も少なくありません。そのような待遇面でのメリットもさることながら、資格取得をきっかけに業務範囲が広がったり責任あるポジションを任されたりするケースもあります。「資格を取った=それだけ前向きに自己研鑽できる人」として評価され、昇給・昇格時にもプラスに働く可能性があるでしょう。

幅広い業界で役立つスキル

簿記の知識や資格は企業規模や業界を問わず役立つ普遍的なスキルです。どんな業種の会社でもお金の流れを管理する経理業務は必ず存在し、簿記はその基盤となる知識だからです。

中小企業であれば、経営者や現場担当者自らが簿記の知識を使って帳簿を付けたり、財務状況を把握したりしているケースもあります。大企業であっても、部門ごとの予算管理や業績管理に簿記の考え方が活かされています。「会社のお金の動きを理解する力」はあらゆる職場で求められるため、簿記を身につけておけば業界を超えて活躍の幅が広がります。

具体的な業界例を挙げれば、製造業では原価計算の知識が生産管理に活きますし、流通・小売業では売上・在庫管理に簿記の知識が役立ちます。IT業界でもプロジェクトごとの採算を把握するのに簿記の考え方が応用できます。また、金融業界では企業の財務諸表を分析する際に簿記の知識が不可欠です。簿記はビジネスパーソンの共通言語とも言われ、経理職以外でも「数字を読む力」として高く評価されます。

さらに、簿記2級レベルの知識があれば会計事務所や税理士事務所などへの就職・転職も視野に入ります。会計・税務のプロフェッショナルな現場では簿記の知識は必須であり、実務未経験でも簿記資格を持っている人を積極採用する事務所もあります。将来、公認会計士や税理士など上位資格を目指す場合でも、簿記2級・1級の知識は土台として大いに役立つでしょう。

簿記で培った知見は職種や業界を超えて普遍的なビジネススキルとなるため、「どの道に進んでも腐らない知識」と言われるゆえんなのです。

学習方法や合格のポイント(独学とスクールの違い)

簿記資格を目指すにあたって、効果的な学習方法と合格のコツも押さえておきましょう。

まず大事なのは計画的に学習時間を確保し、テキストと問題演習を繰り返すことです。前述の通り、3級合格には50~100時間、2級には100~300時間ほどの勉強時間が目安となります。この時間をどのように捻出し配分するか、スケジュールを立てることが合格への第一歩です。社会人の方であれば通勤時間や休憩時間などのスキマ時間を活用し、学生の方も授業やアルバイトとの両立を図りながら毎日コツコツ学習を続ける習慣をつけましょう。

学習の進め方としては、簿記の基礎知識をテキストで理解 → 問題集でアウトプット練習 → 過去問で実戦力を養うという流れが効果的です。商業簿記の仕訳や勘定科目のルールを一通りインプットしたら、できるだけ早い段階で問題演習に取り組み、自分の理解度を確認します。間違えた問題はテキストに戻って復習し、再度類題に挑戦する……というサイクルを繰り返すことで着実に力が付きます。また、試験では時間配分も重要なので、過去問題集を使って本番と同じ制限時間内で解く練習もしておくと良いでしょう。

3級は比較的独学でも合格しやすい試験ですが、2級は範囲が広いため苦手分野を早めに洗い出して重点的に補強することが合格のポイントです。

では、独学とスクール(講座利用)のどちらで勉強すべきかも悩むところです。結論から言えば、人それぞれのライフスタイルや学習スタイルによって最適な方法は異なります。そこで独学とスクールの違いを簡単に整理してみましょう。

  • 独学
    最大のメリットは費用が安く済むことです。テキスト代や問題集代程度で始められるため、経済的負担が小さくて済みます。また自分のペースで勉強を進められるので、忙しい時期はゆっくり、時間に余裕がある時は集中的に、など柔軟な計画が立てられます。

    一方、デメリットとしてモチベーションの維持が難しい点が挙げられます。締め切りや強制力がない分、「今日はサボってしまおう…」と先延ばしにしがちです。また、独学では試験範囲の中で重要なポイントを自分で見極める必要があり、効率的な学習計画を立てにくい場合もあります。疑問点が出てもすぐに質問できないため、理解に時間がかかることもあるでしょう。
  • スクールや通信講座
    専門学校の通学講座やオンライン講座を利用する方法です。短期間で効率よく合格したい人や、独学だと不安がある人にはこちらが適しています。

    メリットは、カリキュラムが体系立てて組まれており重要論点を効率的に学べること、そしてプロ講師に質問できる環境があることです。特に簿記2級では出題パターンにクセがある問題も多いため、講師から解法のコツを教わることで独学より格段に理解が深まる場面もあります。また、一緒に学ぶ仲間ができることでモチベーション維持にもつながります。

    デメリットはやはり費用と時間の制約です。通学制スクールの場合、数万円以上の受講料に加え決まった時間に通う手間がかかります。通信講座であっても独学よりは費用負担が増えますし、自分のペースとはいえ受講期間内にカリキュラムを終わらせる必要があります。しかし最近ではWeb動画講義やスマホ教材なども充実しており、仕事や勉強で忙しい方でもスキマ時間に学習しやすくなっています。

独学と講座、それぞれにメリット・デメリットがあるので、自分の性格や状況に合った方法を選ぶことが大切です。

例えば「お金をかけずにマイペースで学びたい」という人は独学、「多少費用をかけても効率よく確実に合格したい」という人はスクールや通信講座、といった具合です。独学が一番安上がりではありますが、ダラダラと時間がかかりすぎては本末転倒です。短期合格を目指すなら市販教材に加えて通信講座を併用する、といった選択肢も検討するとよいでしょう。大切なのは、自分の生活スタイルや目標に照らして無理なく続けられる学習法を選ぶことです。

まとめ

簿記3級・2級の資格は、就職活動でも転職活動でも大いに武器になります。その理由は、簿記がビジネスパーソンに必須の基礎スキルであり、企業規模や業界を問わず活躍の場を広げてくれるからです。経理職を目指す人にとっては言うまでもなく重要な資格ですし、そうでない人にとっても「数字に強い」「向上心がある」というアピールにつながります。

簿記資格の取得を通じて身につけた知識や努力の過程は、きっと今後のあなたのキャリア形成において一生ものの財産になるでしょう。ぜひ計画的に学習を進め、簿記という強力な武器を手に入れてください。資格取得後もその知識を実務で活かし続けることで、さらなるキャリアアップの道が開けていくはずです。

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